科学者ヴィクターと創造された怪物の２者の視点から語られる本作。

第一部　ヴィクターの話

男爵の身分で外科医の父と資産家の娘である母の間に生まれたヴィクター。

高圧的で支配的な父への不信感は、母親が弟を産み亡くなったことで
さらに膨らみ、ヴィクターの反骨心へと変わっていく。

そんな中、闇の天使の夢を見たヴィクターは、

「生と死をつかさどる力を支配してみせる。
父が抱いた野望や功績以上のものを成し遂げる」
ことを心に決める。

そして、亡くなった人間のパーツを繋ぎ合わせ
神経伝達に刺激を与えることで生かすという実験にのめり込んでいく。

そして、死体置き場に打ち捨てられた死体を寄せ集め、
雷雨の夜、雷の電気ショックで命が吹き込まれたクリーチャーが誕生する。

知能はありそうだが、学習の手立てがなくコントロールができないクリーチャーの扱いに
手を焼くヴィクターは、クリーチャーを燃やすことを決意する。

第二部　クリーチャーの話

燃やされたクリーチャーだったが、水路からの脱出に成功し
ある地域に流れ着く。

そこでは、盲目で聡明な老人と家族たちが生活していた。
その老人に心動かされたクリーチャーは、
森に住み、ひっそりと彼らの手伝いをして過ごすようになる。

老人と接触し、人間が話す言葉や様々な感情を教えてもらったクリーチャー。
彼は次第に、”自分が何者であるか”という疑問を持つ。

そして、研究資料の残骸を目の当たりにしたクリーチャーは
自分が、死体のつぎはぎで出来ており、何者でもないことを知る。

自分を創造した人間に会い、この孤独を埋めて欲しいと感じたクリーチャーは
唯一の記憶「ヴィクター」を探しにいく。

結末

伴侶を作って欲しいと頼みこむクリーチャーと
頑固として断るヴィクター。

２人は誰もいない地で決着をつけるが
クリーチャーは不死身であった。

致命傷を負い、虫の息のヴィクターは
自分のせいであり、とんでもないことをしてしまったと詫びを述べる。

クリーチャーは、そんな創造主の言葉を噛み締め
自分の怒りは無意味であり、”不死身であり孤独”という定めを背負って生き続けることを悟り、
ヴィクターが息を引き取ったのを見届け、その地を後にする――――。