怖さ ★
ストーリー ★★★★
グロさ ★★
原題:
公開: 2022年
制作:アイルランド・イギリス・フィリピン・アメリカ合作
時間: 97分
監督:ロルカン・フィネガン
脚本:
ブルネッラ・コッキーリャ
エミリー・レオ
キャスト:
エヴァ・グリーン
マーク・ストロング
チャイ・フォナシエ
ビリー・ガドスドン
キャシー・ベルトン
あらすじ:
ファッションデザイナーとして名を馳せるクリスティーンは、夫のフェリックスと幼い娘のボブスとダブリン郊外で悠々自適に暮らしていた。ある日、仕事中にクリスティーンはダニに寄生された犬の幻影に襲われる。8ヶ月後、クリスティーンは筋肉の痙攣、記憶喪失や幻覚などを引き起こす原因不明の体調不良に悩まされていた。そんな彼女の前に、ダイアナと名乗るフィリピン人の乳母が現れるのだが…。
Copyright (C) Lovely Productions Limited / Wild Swim Films Limited MMXXII. All Rights Reserved.

民俗ホラー×社会派サスペンスの心理戦に胃が冷える~
『NOCEBO ノセボ』が観られるサブスク ☟ (記事更新時点での情報)
Amazon prime video | Netflix | FOD | Hulu | DMM | TSUTAYA | Paravi | U-NEXT | ゲオ 宅配レンタル | ABEMA |
○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × |
\ホラー映画観るなら圧倒的おすすめはアマプラ!作品数が桁違いにあって、絶対元取れる👻/
☟amazon prime video
以後ネタバレを含みます。
1.そもそも「ノセボ」とは??
無害なものでも「害がある」と信じた負の期待が実際に不調や副作用を引き起こす現象を指す医学用語(=ノセボ効果)
監督も「プラセボの反対(ノセボ)」を軸に語っている。
2.突然やってきた家政婦

「あなたに頼まれてきました」とフィリピンからやってきたダイアナ。
しかし、ただの乳母ではなさそう。
何かを知っているような・・・
それでいて探りを入れるような・・・
クリスティーンの記憶喪失の症状を逆手に取り、家に押しかけてきた怪しい人。
しかし、体調不良に悩まされるクリスティーンは、
精神的に支えてくれる彼女の存在に少しずつ心を許していく。
3.フィリピンの民間信仰“ongo”
実は、ダイアナは「ongo」と呼ばれる存在。
「ongo(=ungo)」はビサヤ語(セブ語)で“妖女/魔女・怪異”を指す語。
地域によってはアスワン(aswang)系の呼び名としても使われ、“治す/祟る”の両面を帯びる。
白魔術も黒魔術も使うことができる
不思議な力を持った人 ということ。
死に際を見てしまった人が次のオンゴになる。

次の人が飲み込むことで成立する。
4.この乳母、敵か?味方か?
クリスティーンの不調を直すべく、
なにやら「爪」と「髪の毛」と「血液」の収集を始めたダイアナ。
実は、ダイアナはクリスティーンに彼女に恨みを抱いているバリバリの敵。
クリスティーンの症状の悩みを治しつつ、精神的に自分に依存させ、
復讐の準備を着々と進めていたという怖さ。

「爪」「髪の毛」「血」を集めちゃったら、もう黒魔術。
白魔術でそのメンツ使うのは聞いたことがない。
5.クリスティーンの不調の原因
冒頭のファッションショーのシーンでかかってきた電話がすべての始まり。
クリスティーンがデザインを手掛けるブランドの縫製工場で火事があり、
従業員が多数亡くなったという知らせ。
現地視察の際にクリスティーナが指示した
・コスパ重視の過重労働
・盗難防止のための施錠
により、火災発生時に逃げられない従業員が多数発生し死亡した。
この事故をきっかけに、クリスティーンは責任を感じ精神不安定に。
ちなみにダイアナは、その縫製工場で働いていた従業員であり、
火災発生時、娘のためにジュースを買いに工場の外に出ていた。
工場内で待っていた娘は、火災に巻き込まれ、死亡。
一連の出来事が、ダイアナが、はるばるフィリピンからクリスティーンを訪ね
オンゴの力を再び使用することになったきっかけ。
実際に、マニラで起こった縫製工場の火災を基にしているらしく、
映画のクレジットには、被害者関連へのメッセージが。
ファッション業界とグローバル搾取に焦点を当てた復讐劇でした。
クリスティーンは、オンゴの力で
縫製工場の火災を追体験させられ、黒焦げになって死亡。
6.ダニと黒い犬
そして首の後ろに噛みついたダニ。
「閾(いき)」を往来する存在として、
(1)死や災厄の前兆
(2)墓地や門の守護者/結界
(3)魔女の使い魔
(4)退魔の従者、といった役回りで使われることが多い。
災厄を運ぶ使い魔的な存在として、ダイアナに利用された。
そして、ダイアナが作中で
「あんたはすべてを吸いつくすノミだ」
とも言っていたように、
縫製工場ときらびやかなファッション業界の関係のように
弱者に寄生し、搾取しつくすといった意味合いも考えられる。
7.次の“ongo”
母親は精神的に不安定
父親にはペットの鳥を殺されひとりぼっちの娘・ボブズ。
次第に乳母のダイアナを頼るようになる。

屋敷の上から飛び降り、ボブズにその様子を見せる。
オンゴの最期を看取った人間が次のオンゴ・・・。
8.今回の不憫枠・夫

妻は仕事部屋で焼死。
娘は”オンゴ”に。
コメント 皆様のコメントでこの映画をより深く分析したい