怖さ ★★★★
びっくり ★★★
ストーリー ★★★★
グロさ ★
作品情報
原作:背筋『近畿地方のある場所について』
公開:2025年
制作:日本
時間:103分
監督・脚本:白石晃士
キャスト:
菅野美穂
あらすじ: 同僚の編集部員・小沢悠生はオカルトライターの瀬野千紘とともに彼の行方を捜すうちに、それらの謎がすべて“近畿地方のある場所”につながっていることに気づく。 真相を確かめようと、2人は何かに導かれるようにその場所へと向かうが、そこは決して見つけてはならない禁断の場所だった。
赤楚衛二
九十九黄助
夙川アトム
(C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

そんな白石監督の影響を受けて作られた作品が
白石監督本人の手で映画化されるという
胸熱な展開に!
『近畿地方のある場所について』が観られるサブスク ☟ (記事更新時点での情報)
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【注意】以後ネタバレを含みます。

ホラー書籍ブームの火付け役と言っても良い
『近畿地方のある場所について』
今まで観た作品の中でもトップレベルでお気に入りの作品となりました。
ただ、2025年8月18日時点で映画.comの評価は★2.7。
みんな厳しい🤔
ヒトコワ、心霊、モキュメンタリ―、POV、都市伝説、怪物・・・
暗くても明るくても怖くて、満足感たっぷりの映画でした。
映画に出てきた怪異を、備忘録もかねて考察してみます。
因みに、原作は未履修です。
1.モキュメンタリー
モキュメンタリ―の作り込みが本当にすごかったです。リアルすぎる。
本当に平成から持ってきた映像?ってなった。
いやそんなわけないよな。
集団ヒステリー
「おーい」「かきがあるよー」という
野太低音ボイス+意味不明な発言で
一気に世界観に引き込まれました。
何かを見た女子生徒が倒れたことをきっかけに
次々とみんな体調不良になっていきます。
強気JK
どこからどう見ても平成。平成臭がすごい。
呪いのチェーンメールをもらった強気JKも行方不明に。
ニコ生「首吊り屋敷」
全編を通してずっと恐怖は感じていたけど
特に怖かったのが、この首吊り屋敷。
名前は忘れたけど、勇気は称える配信者。
映画館で思わず投げ銭しそうになった。
この猿、絶対急に鳴ると思って身構えていたのに鳴らなかった。
なんで怖い家にはいつもこの子がいるの😭
アナベルかな。
あと、目が動く写真と
空間を埋め尽くす首吊りロープが圧巻でした。
2.まさるさま/ましろさま/やしろさま
とても似てる呼び名が3つも登場してこんがらがったので整理してみます。
まさるさま
近畿地方の昔話に登場するマザコン男。
大好きな母親が死んだあと、神様から貰った柿を餌に
村の女性たちを釣るが相手にされず死んでしまう。
それ以来、
「おーい」
「かきがあるよー」
「およめにおいでー」という声が山から聞こえてくる。
集団ヒステリーの動画で聞こえてきた怪異の元ネタですね。
ましろさま
まさるさまの山の近くの団地で流行っていた遊び。
鬼(ましろさま)に捕まった人は、
ましろさまが納得する生贄を捧げなくてはならない。
やしろさま
大切な人を失った女性が信仰をしていた宗教施設では、
黒い岩のことを「やしろさま」として、
約10年間祀っていた。
(千紘も、息子を亡くして以来この宗教に入信していたらしい。)
まさるさま/ましろさま/やしろさま
呼び名こそ違うものの、だいたい同じ事象のことを指しているようでした。

ちなみに、「神猿」と書いて「まさる」と読むらしいです。
劇中でも霊能者が、「人ではない・・・猿・・?」と言っていましたし。
猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)が元になっているとされ、
道開きや境界守護の神格。
「まさる」には「勝る(すぐれる)」「魔が去る(厄が払われる)」
という意味も含まれ、地方によってはお札や小さな祠に「まさる様」として祀られることもあるそう。
怪談やオカルトの文脈では、
“触れてはならない土地神”として登場することが多いです。
3.首が折れた男の子と赤い服の女
首が折れた男の子は、
「ましらさま」という遊びで生贄にされ
団地の広場で首を吊って死んでしまった男の子・了(あきら)くん。
赤い服の女は、その母親であると思われます。
「首吊り屋敷」に住んでいた人です。
了くんの死後、精神的に壊れて「首吊り屋敷」に引きこもり、
不可解な行動(札を貼る/怪異の拡散)を繰り返していた。
この行動は、死んでしまった息子を蘇らせるための生贄集めのようです。
この人、死んでる描写ありましたっけ?
千紘が車ではねた時、生身の人間の音がしたので・・・( ^ω^)
生きてる状態で一連の行動しているとしたら
やっぱり一番怖いのは人!ってなっちゃう。
4.「見つけてくれてありがとうございます」とは?
劇中の中で繰り返されていた、
「見つけてくれてありがとおおおおおおお」という言葉。
どういう意味なのでしょうか。
さんざん見せられたモキュメンタリ―映像の中にも、
「見える人」と「見えない人」がいるな、と感じていました。
学生の目黒くんは、首の折れた少年(了くん)が見えてしまった。
それからというもの、赤い服の女性に狙われるように。
つまり、死んだ了くんが見えた人=次の生贄候補
ということなのでしょうか??
「あら、あなたうちの了が見えるの?いいセンスしてるわね。あなたなら、ましらさまも喜んで生贄として受け取ってくれるわ」=「(了を)見つけてくれてありがとう」ってことなのかなぁと。
見えた時点で呪いに捕まってしまうということであり、
行方不明者=生贄
という関係性が露わになりました。
5.まさかの”必要の石”(ハリポタ風)と柿
すべての元凶は、まさるさまの山にあるといわれる石。
(黒曜石っぽかったな🤔)
宗教施設にいきなり現れたり、
首吊り屋敷にあった痕跡があったり、という
どうやら人が必要とする場所に出現する黒いトゲトゲした石。
この石に生贄を捧げれば、
自分の大切な人が返って来る
という仕組みらしい。
近畿地方の昔話「まさるさま」で、
大好きな母親が死んで悲しんでいる男に、
天から降りてきた神様が柿を授け、
これで若い女性を娶ったらいいよ~というくだりがありましたが、
あれ、”柿”じゃなくて”黒い石”だったんじゃないかなって。
神様は、母親の代わりに嫁を見つけろよっていったんじゃなくて
代わりの女性をこの石に捧げたら、
母親を戻してあげようか、っていうくだりだったんじゃないかなって。
だとしたら、昔話で手のひらサイズだった石が
大切な人を亡くして悲しんでいる必要な人の場所に現れ続け、
生贄を取り込み続け、
あのサイズにまで大きくなったのだとしたら・・・
コワ( ^ω^)・・・
6.赤い服の女 VS 千紘
物語のラストスパートで明らかになるのは、
この映画は、
亡くなった息子を取り戻すために、
生贄を捧げ続ける赤い服の女
と
亡くなった息子を取り戻すために、
生贄を携え、石を探し続けていた千紘。
という子を失った母親同士の生贄争奪戦だったということ。
そして、巻き込まれる不憫な赤楚くん。
編集長の佐山さんも、千紘の差し金で
近畿地方のある場所について取材をし
千紘が唾をつけていた生贄候補だった。
それなのに、
途中で失踪。
逃げたのか、赤い服の女に盗られたのかは不明。
千紘が、赤い服の女を
「邪魔するなーーーー」って車で跳ね飛ばしたところ、
笑っちゃいました。
7.こだまの最終形態とタタリ神

これに関しては、白石監督と背筋氏の対談で
こんな風に語っていました。
(以下、Real Soundから抜粋)
背筋氏:私が好きなのは“大いなるもの”なんでしょうね。その時々で幽霊に見えるかもしれないし、別の何かに見えるかもしれない。
白石監督:私も神のような、人知を超越したものを描くのが好きなんです。人間の価値観を理解することもないし、人間に都合のいいふるまいをすることもない。そういう存在が怖いなと感じるんです。人間の幽霊が出てくるだけじゃ映像として価値を感じないというか、「たかが人間じゃん」と思ってしまう(笑)
ちょうど胸焼けしそうなところだったので
少しニュアンスが変わったこのシーン、
わたしはデザートぐらいの新鮮な感覚で味わえて良かったです。
まさるさま/ましろさま/やしろさまの根源ということですよね。
おくるみにくるまれていたので、
返してもらったものが、ほんとうに人間の形をしているのか
それとも概念なのか・・・は分からなかったのですが、
8.結末
この場面は、冒頭のシーン
「私の友人が行方不明になりました。名前は―――」
と、千紘が誰を探しているのか、分からないままシーンが終わります。
同じ画角で
「私の友人が行方不明になりました。名前は、小沢悠生くんといいます」とすっとぼけぇで語っていました。
どういう意図で、捜索動画をアップしたのでしょうか。
どこに行ってしまったのかを詮索しているのでしょうか。
次の生贄にしようという魂胆とか???
オープニングとラストで同じに見えて、
実は服が違う。
あと、おでこのケガも。
これからも捧げ続けていく運命ということが分かります。
タタリ神みたいなタクミくんをずっと自分の手元に置いていくために。
千紘が赤い服の女になる日も、そう遠くはなさそう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント 皆様のコメントでこの映画をより深く分析したい